糖尿病ねこさんの血糖値測定がお家で出来ると心強い。
自宅での血糖値測定の方法やコツについて、まとめてみました。
同じフードを食べて、同じ用量のインスリンを注射し続けていても、血糖値は必ずしも毎日同じパターンを示すとは限りません。ねこさんの体質や性格によっては、病院で測定する血糖値がストレスにより高くなってしまい安定しないということもあります。
また、膵炎などの発症時には血糖値が安定しないことがありますし、ごはんを食べられなくなることでインスリンの用量を日ごとに微修正する必要が出てくるケースもあります。
自宅で血糖値を検査するメリットを下記にまとめます。
- さまざまな原因で起こる血糖値の変動に気づきやすくなる
- ごはんをあまり食べれない時、インスリン単位を検討する一因になる(単位の判断は獣医さんと相談)
- 体調がよくないとき、それが血糖値が高すぎによるものか低すぎによるものかを把握できる
- 自宅での血糖値測定により通院頻度を減らし、ねこさんへの負担軽減が出来る
- 平常時に近い血糖値を把握することで、通院により極端に血糖値が上がっていることに気付ける
ねこの糖尿病の指標になるのは、主に血糖値と尿糖、ケトンです。ここでは血糖値測定をメインにして、我が家が自宅で行っている血糖値測定について紹介させて頂きます。
血糖値測定に用いるもの
血糖値測定器と消耗品
我が家では、「犬猫用 血糖値測定器 アルファトラック2」を使用しています。そして、専用のテストストリップスを使っています。このテストストリップスは、アルファトラック2本体に装着して計測ごとに使い捨てる消耗品になっています。血液を吸い取る部分になります。
2024年現在は、犬猫用 血糖値測定器 アルファトラック3が発売されているようです。Bluetooth®を用いてアプリでデータを管理できるそうです。これいいなぁと思っています。アルファトラック2を買って数ヶ月でアルファトラック3が販売されはじめたので、ちょっとショックでした。なぜかというと、アルファトラック2と3のテストストリップスに互換性が無かったからです。テストスリップスがまだたくさんあるので、我が家はしばらくアルファトラック2にお世話になりそうです。
アルファトラック以外の全ての犬猫用 血糖値測定器に言えることですが、病院で測る血糖値とは誤差があります。この誤差を動物病院で確認頂くと良いかと思います。また、測定器の初期設定なども相談するとしっかり対応頂けることがおおいと思います。アルファトラックに関しては、そこまで細かい設定はありませんが対象が犬か猫かという初期設定があります。
穿刺針
我が家ではまず、ファインタッチⅡとファインタッチ専用 メディセーフ針でチャレンジしました。ファインタッチⅡは、側面にあるボタンを押すと針がでるシステムなので力加減が自動で出来る点が良いです。しかし、残念ながらファインタッチⅡと我が家のねこさんの相性は合いませんでした。耳で穿刺をしているのですが、ファインタッチⅡのボタンを押した瞬間になるカチッという音に極端に驚いて動いてしまい、上手くいきませんでした。
その後、スタンプ式の穿刺針ならそこまで音がせずに、音と針の出るタイミングが同時なので良いのではないかと考えました。そして、メディセーフ ファインタッチディスポ 0.8mmにたどり着きました。こちらは穿刺器具と針を一体化した使い切りタイプです。結果として、我が家のねこさんにはこちらの穿刺針が良かったです。
カット綿とエタノール
耳を消毒する際に使うカット綿とエタノールです。以前は1枚ごとに個包装になっているアルコール綿を使用していたのですが、コスト面からこちらに切り替えました。使用ごとにカット綿を一枚取り出して、手押しポンプでエタノールを出してアルコール綿を作っています。
ペンライト
ペンライトは、ねこさんの耳の血管を確認するために使用するライトです。元々家にあったもので、あまりにも光量が強かったために耳の下に置く場所以外を白いシールにより光量を抑えて使っています。このライトの良かった点は、光っているライト部分が平だったことです。これによって、スタンプ式の穿刺針がズレるということがありませんでした。
目もと用のカイロ
電子レンジで温めて何度も使える目もと用のカイロです。耳をあたためて、血流をよくするために使用しています。
保定袋
「保定袋 6本ファスナー Plus うちの子スペシャル」というねこさんを保定するための袋です。針を刺すという細かい作業をする際には、ちょっとでも動くと失敗してしまうことがあります。特に我が家のねこさんは、耳という場所から噛みつこうとしてくるため、少しの間だけ保定をさせてもらっています。素早く済ませるために、そしてねこさんと飼い主さんの安全を考えた際に必要と感じた場合は使用を検討しても良いかもしれません。
血糖値測定の手順
⓪保定袋に入れる
どうしても動いてしまうねこさんや、お一人暮らしの飼い主さんは保定袋にねこさんを入れることから始まります。血糖値測定までなるべく素早く済ませることが求められますので、イメージトレーニングが大切です。
①耳をあたためる
電子レンジで既定の時間あたためたカイロで片耳を挟みます。この際、私はねこさんの顔の真正面にいるイメージです。
カイロは、概ね1分くらいは温めるようにしています。カイロが熱すぎないかのチェックはしっかり行って下さい。
②耳の消毒
温めた耳をさっとアルコール綿で消毒します。③に書きますが、狙いは耳の外側の縁ですのでその付近を消毒します。
③ライトで耳を照らす
耳の全面毛が生えている裏側にライトを当てて、血管が見えるように照らします。
ねこの耳の血管は、耳の縁と同じように走っています。その太目の血管と耳の縁の範囲、青線で示した箇所がねらい目ポイントになります。そのため、ここでは耳の縁と同じ太い血管の位置を確認します。
④穿刺針を刺す
次に、耳裏においたライトを下敷きにして血管の位置を確認しながら、スタンプ式の穿刺針を耳の表側から当てて、ぐっとハンコを押すように押します。カチッと小さめの音がしたらすぐ穿刺針を耳から離して血の出方を見ます。
ここで穿刺針を刺す位置ですが、血管を避けるあまり外側過ぎるとあまり血が出ません。少量で血糖値を測れるといってもにじむような感じでは血の量が少なすぎます。我が家のねこさんとの経験では、スタンプ式の穿刺針を刺す位置は血管のほんの少し外側というイメージでかなり血管近くを狙っています。ここは飼い主さんの経験で良い方法を探していって頂ければと思います。私もなんども上手くいかずに不甲斐ない気持ちになったものです。とにかく経験です。
⑤血糖値の測定
テストストリップスを本体に差し込み、血玉を吸わせます。我が家では、ねこさんがまあまあ暴れる子のため、保定袋に入れた後くらいにはテストストリップスを本体に差し込んでしまいます。なぜなら、血玉は頭を振ったりすると飛んで行ってしまうためスピードが求められるからです。
ここで、意外とわかりにくい点はテストストリップスのどこに血玉を吸わせるかということです。アルファトラック2のテストストリップスでは、先端の左右にある半丸の中心部分に吸わせます。かなり近くでみると、この部分がほんの少し突起状になっているのが分かるかと思います。
上手く測れていれば、一瞬で血糖値が表示されます。残念ながら、失敗した場合はテストストリップスを新しいものに付け替えて再度チャレンジしましょう。
写真情報を追加予定
血糖値測定手順について写真をたくさん載せられると良いのですが、我が家の糖尿病ねこさんはとても繊細なため、何か1つでも環境が変わるとものすごく気にしてしまします。通常でもカメラを向けると逃げてしまうので、良い手段を模索中です。
血糖値測定以外に我が家で行っていること
ケトンの測定
ねこさんが長期的に高血糖状態になるとケトアシドーシスという症状に陥ります。ケトアシドーシスは重篤になるとかなり危険な状態になってしまうことが多いため、定期的なケトンの測定は安心材料の1つになります。
我が家では、ウロペーパーⅢ ‘栄研’Kを使っています。
尿糖・尿蛋白などの測定
こちらは我が家のねこさんが糖尿病になった当初かなり頻繁に使っていました。目的は尿糖です。ただ、インスリンを使っても尿糖が全くでないということは無いことが分かってからは時々安心材料の1つとして使うという頻度になりました。血糖値が概ね安定していても、3+(500)は出ています。
我が家では、ウロペーパーⅢ ‘栄研’A,G,pHを使っています。
飲水量の記録
飲水量の記録をとって、平常時どのくらい飲んでいるかを確認することはとても大切だと感じています。血糖値が高くなると飲水量が増えますし、あまりにも飲まないようであれば腎臓に負担がかかるといったことにもなります。
我が家のねこさんは2匹でその内の1匹が糖尿病持ちなのですが、各2つずつ水入れがあります。これらを1日1回~2回、デジタル測りで計測しています。
トイレの回数、尿量の記録
トイレの回数や尿量については、当初は手動で記録しておりました。現在は、2匹のどちらかが良く分からなくなってしまったことと、糖尿病のねこさんが膀胱炎になりやすくなってきたことから自動記録してくれるシステムトイレとトイレの下に置くだけで排泄情報や体重を計測できるボード型IoTデバイスを導入しています。自動化したことで、体重によってどちらのねこが何回トイレをしたか、どのくらいの量したかが分かり易くなりました。
その後、留守中に何度もトイレに出入りしていたことが分かり、すぐに病院で膀胱炎の治療をすることが出来ました。
まとめ
糖尿病のねこさんにとって自宅で血糖値を測れるということは、多くのメリットがあります。ねこさんの体調の変化をすぐに察知して対応できる点が最も大きなメリットかと思います。そのため、最初は大変でも少しずつ経験から上手に血糖値測定ができるようになるはずです。私も正直不器用ですので、慣れが一番必要なことなのかもしれません。
ただし、ねこさんおよび飼い主さんの性格的に難しいということもあるかと思います。血糖値測定には、病院でその時の血糖値を測る検査以外にも長期血糖測定などもあります。これは、血液検査の前2週間程度の血糖値について知ることが出来ます。このような検査もありますので、ねこさんと飼い主さんが最も良いと思われるやり方を獣医さんと共に見つけていって頂ければと思います。