日本は災害の多い国です。
大切なねこさんと共に生きる上で準備できることについて
考えてみました。
大事な家族であるねこさんは、災害時に一緒に避難をする想定になる場合が多いかと思います。
日本は地震が多い国です。さらに近年は、数十年に一度といわれるような台風や大雨、大雪など、各地で自然災害が多発している状況です。万が一災害が発生したときに、家族の一員である大切なねこさんを守る準備がとても大切になります。
本記事では、備えておきたい防災グッズやその優先度の考え方や、ねこさんを守るために飼い主さんが日頃からできることについて紹介します。記事の最後に、2011年東日本大震災を体験して感じた防災グッズに関する反省点についてもまとめました。参考にして頂けますと嬉しいです。
ねこの防災グッズは何が必要か
ねこの命と健康を維持するためもの
- 薬、療法食
- ペットフード、水軟水
- キャリーバッグ、ケージ
- 予備の首輪、リード
- トイレ用品(使い慣れた猫砂、ペットシーツ、防臭袋)
- 食器
薬、療法食
災害時に動物病院が開いているとは限りません。薬は少し多めにストックして準備しておくことをお勧め致します。
我が家のねこさんは、整腸剤を服用しているのですがこちらは常に1週間分ストックしながら新しいものを頂くようにしています。ただ、インスリンに関しては冷蔵が推奨されるため、在宅時はすぐに持ち出せるように常にインスリンを保冷バックに入れて冷蔵庫に保管しています。
また、療法食を食べているねこさんは特に療法食のストックが必要です。災害時は療法食がすぐに手に入らないことがあるかもしれません。
ペットフード、水(軟水)
避難所で配られることがあってもペットフードはすぐには手には入れないかもしれません。また、好みが強いねこさんはいつものフードでないと食べてくれない可能性もあります。
また、水についてはフードと同様に必須なものになります。水については軟水を選びましょう。硬水は、ミネラルの量が多く、腸や腎臓・膀胱などの不調につながりやすいので、ねこの飲料水としては適切ではありません。
キャリーバッグ、ケージ
キャリバックはいつも使用しているものが好ましいです。そして、可能ならばリュック式や肩掛け式など手が空くようなキャリーバックが避難時には良いかと思います。
また、避難後はキャリーバックからケージに移すことが出来るとねこさんのストレス軽減が出来るかもしれません。ポータブルケージや1人用の人間用テントで代用するなどが可能です。ケージはポータブルでも少しかさばるので、サイズ感や重量を見て検討が良いとお思います。
リード付きのハーネス
避難中や避難所でねこさんが突然飛び出していってしまう可能性があります。ねこの身体はやわらかいため、固めの素材で出来ていて伸びないものを選ぶと良いです。
ポータブルトイレとトイレ用品(使い慣れた猫砂、ペットシーツ、防臭袋)
折り畳み式のポータブルトイレ、ジップロックなどに使い慣れた砂を小分けしたもの、ペットシート、防臭袋を準備すると良いです。特に使い慣れた砂でないとトイレを我慢してしまうねこさんがいるのでねこ砂の準備は重要です。
食器
かさばらないような折り畳み式の食器や少し深い紙皿が良いと思います。折り畳み式の食器は、ゴム製のものが多くて匂いがしたからか、我が家のねこさんはフードを食べず、紙皿だとしっかり食べてくれました。食器については準備したものを予行練習として、ねこさんが準備した食器でフードを食べるか試しておくことが必要です。
ねこさんの情報
- 飼い主さんの連絡先
- ねこさんの写真(スマホの画像保存や印刷物)
- ワクチン接種状況、既往症、投薬中の薬情報などの情報
避難中や避難所でねこさんとはぐれてしまった場合、飼い主さんおよびねこさんの情報が必要になります。首はを付けているねこさんは、飼い主の名前と連絡先を記載した迷子札を付けておくと良いです。また、はぐれたねこさんを探したり、見つけた際の証明としてねこさんと飼い主さんが一緒に写った写真を準備しましょう。ねこさんと飼い主さんが一緒に写った写真をスマホに保存や印刷して常備するのも良いかと思います。
最近では、マイクロチップを装着しているねこさんがいますが、装着後はしっかりと飼い主情報の登録と更新を行って下さい。読み取りさえできれば飼い主の住所や連絡先をすぐに特定することが出来ます。
避難先で多くの動物と接することになった場合において、お互いを守るためにワクチンを接種する予防医療が必要となります。またワクチン接種証明書を印刷またはスマホで保存しておくと安心です。
また、飼い主にもしものことがあったときのために、ねこさんの既往症や投薬情報などを整理しておくことが重要です。
ケア用品とおもちゃ
- ウェットティッシュ
- タオル
- ブラシ
- 匂いがついたお気に入りのおもちゃ
- 洗濯ネット
ウェットティッシュやタオル、ブラシなど普段からお世話に使っているものがあると便利です。また、お気に入りのおもちゃがあると安心するねこさんが多いです。また、キャリーになれていないねこさんは落ち着かせるためにネットがあると良いです。
防災グッズを分類しておく
防災グッズは、人間用とねこ用の2種類が必要です。
防災グッズを持ち出す想定であれば、徒歩か車か、飼い主さんは1人か2人か、ねこさんは1匹か複数かなど様々な状況があるかと思います。そして、状況によって持ち出せる防災グッズのサイズや重量には限界があります。
そのため、防災グッズについて考える際は、まずは「持ち出し用の防災グッズ」と「家での備蓄用の防災グッズ」を分けて考えてみると良いと思います。
持ち出し用の防災グッズ
持ち出し用の防災グッズは、上で挙げた防災グッズの内、「ねこの命と健康を維持するためもの」になります。薬、フード、水、トイレ関連、食器、キャリーをベースにして、うちの子にはなにが必要かを考えて優先順位をつけることが大切です。その内、人間の防災グッズとともに持ち出して運べるサイズと重量になるように調整をすると良いかと思います。
家での備蓄用は、いつも使っているものをローリングストック
家での備蓄は、持ち出す前提ではないためお家の収納サイズと相談になるかと思います。
そして、家での備蓄するねこさんの防災グッズは、できるだけ普段と同じものを使うことを基本と出来ると良いかと思います。なぜなら、ねこさんはいつものフードをいつも使っているものであることが安心な性質があるからです。
ここで良い方法と考えられるのが、防災の備蓄食品を用意する際の分類方法であるローリングストック法(回転備蓄)です。「ローリングストック(回転備蓄)」 とは、 普段の食品を少し多めに買い置きしておき、 賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、 常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法です。
すなわち、ねこさんが普段食べるフードや普段使っているねこ砂などを常にストックしておき、消費した分を買い足して循環させるということです。自宅での置き備蓄は、いつも使用しているものをローリングストックする方法が良いかと思います。
日常でやっておくべき準備
- 被災時の状況を整理する(在宅時、仕事時、人数など)
- 被災時の状況により、持ち出す防災グッズを準備する
- 防災グッズの重量チェック(人間の防災グッズ+ねこの防災グッズ)
- 家に備蓄する防災グッズを準備する、備蓄を回転させる
- 家の地震対策をしておく
- キャリー、フード・水入れ、トイレは事前に慣らしておく
- ワクチン接種をしておく
日常的にやっておくべき準備としては、やはり実際の状況を想定してできる限りのことをしておくということです。ねこさんと飼い主さんの生活環境や避難する際に考えられる状況は、それぞれ異なります。避難時にこれが無くてはダメというものから優先して持ち出せる様に準備し、次にあったら便利かなというものを準備しておくと良いかと思います。
実際はどうだったか(2011年の東日本大震災時)
2011年の東日本大震災当時、当時4歳のわんちゃんがいました。我が家は海から直線で2キロほどの場所だったため、津波が来ました。時間帯的に家族は仕事に出ていて、我が家にはわんちゃんのみがいるという状況でした。結果として、わんちゃんは海水で1階1mほど浸水した家の中の畳の上でなんとか九死に一生を得ていました。震災次の日になんとか家まで歩いて、わんちゃんのみ連れ出せました。
次の問題はやはり水とフードでした。また余震が起こる可能性があったため長時間滞在が難しく、備蓄していた水は持ち出せませんでした。安全な場所まで移動して自販機やコンビニで水を探しても、時すでに遅し。水、お茶の順に無くなっていて、自販機で辛うじて残っているものは甘いジュースや炭酸飲料ばかりでした。避難所で頂いたペットボトルの水をわんちゃんにあげて、人間は炭酸飲料で水分を取っていました。運が良いことに避難していた場所が震災の翌々日には水が出たため、飲料水は確保できました。
次はフードです。震災後はフード販売店も休業していました。そのため、震災翌々日に再度自宅に戻り、フードがないか探したところ浸水していないフードを発見して何とか胸をなでおろしました。
自宅にはわんちゃんの防災グッズを準備していました。しかし、在宅していなかったため持ち出せず、地震により倒れたもので備蓄品を取り出せず、津波で浸水して使えずの不甲斐ない結果となりました。
ここでの反省の1つ目は、車にも飲料水を常備しておくことです。下リンクのペットボトルの水のように、車載も可能な飲料水などもあるようですので、参考にして頂ければと思います。また、会社のデスクにも500mlの水をおいておくことも必要かと感じました。
2つ目の反省は、防災グッズは浸水しても大丈夫なようにジップロックを2重にするなど工夫をしておくことです。特にフードはなんとか浸水しないように工夫が必要だと思いました。